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神戸家庭裁判所姫路支部 昭和34年(家イ)148号 審判 1960年2月18日

申立人 山田亘(仮名)

相手方 神田誠(仮名)

利害関係人 神田貴美子(仮名)

主文

申立人は相手方に対しこの審判確定の日より十日以内に慰藉料として金五〇、〇〇〇円を支払え。

理由

申立人は「申立人と相手方間における利害関係人をめぐる紛争について調停を求める」旨申立て、事件の実情として、

「相手方と利害関係人は正式の夫婦で、両名の間には三歳の長男もある。そして申立人と相手方とは隣家で長く交際をして来ていたところ、昭和三四年五月○○日たまたま申立人と利害関係人とが○○○市内の映画館で出会したのがきつかけで肉体関係を生じ、六月○日大阪市内に駈落したが、同月○○日神戸市内で申立人の兄正秀に発見されそれぞれ家庭に連れ戻された。そしてその後申立人と利害関係人の交渉はない。申立人は両親や兄と共に相手方宅におもむき、種々わびを入れて穏便な解決方を懇請したのであるが、相手方から「指をつめろ」とか「片腕をくれ」とか言われ、困惑しているので円満な解決法調停を求める」

と陳述した。

当裁判所調停委員会は昭和三四年八月五日以来同年十二月三日に至る間前後六回にわたり種々調停を試みたのであるが、当事者の互譲を見るに至らず、調停は成立しなかつた。

よつて当裁判所は事案の性質上審判による解決を必要と認め、調停委員の意見をきき、さらに事実の取調をなしたうえ、家事審判法第二四条により主文のとおり審判する。

(家事審判官 坂東治)

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